The Secret Battle for the Future of the Murdoch Empire
「メディア王」として知られるルパート・マードック氏が今、ひそかに3人の子供たちを相手にした法廷闘争の渦中にいる。ニューヨーク・タイムズ(NYT)が入手した非公開の法廷文書によると、同氏は自身の死後も一族の「メディア帝国」を、保守派の政治勢力として維持することを狙っているという。
ことの発端は、93歳のマードック氏が昨年末に突然動き出したことだった。自身の継承者として選んだ長男のラクラン氏が、巨大なメディア企業群を構成するテレビ局や新聞社の実権を握り続けられるようにするため、(原則として)変更できないマードック家の家族信託[irrevocable family trust]の内容の改定を狙ったのだ。
この信託では、マードック氏が死亡すれば、一族のビジネスの支配権は4人の年長の子供たち(訳注:長女、次女、長男、次男)に引き継がれることになっている。しかし、マードック氏は法廷で次のように主張した。より穏健な政治的思想を持つきょうだいによる介入を排して、ラクラン氏にメディア企業群を経営する権限を与えることによってのみ、保守的な編集姿勢を維持でき、ひいては全ての相続人のために、それらの商業的な価値を維持できる、と。
3人のきょうだい、ジェームズ氏、エリザベス氏、プルーデンス氏は、変更が許されない信託の内容を書き換えようとする父親の動きに完全に不意を突かれた。彼らは団結してそれを阻止しようとした。ラクラン氏は父親側に付いた。驚くべきことに、その後に始まった法廷闘争は世間にまったく知られることなく繰り広げられてきた。
- 【注目記事を翻訳】連載「NYTから読み解く世界」
マードック一族はこれまでも分裂してきたそうです。NYTによると、メディア複合企業の支配権をめぐる最後の闘いの様相を示しているようです。何が起きているのか、NYT記者が詳報しています。
(遺産相続をめぐる裁判手続…